「あなたが昨日観たアレ、誰かに話せないようになっているの」


 歩いている他の生徒に聞こえないようにしたのだろうか、木村先輩は小さな声で言った。半信半疑だったが、試しに他の言葉を言ってみる。


「そんなことあり得るんですか?」


 関係ない言葉は、すんなり出てきた。もう一度、映像について言おうとしたがやはり言葉が出ない。本当にあの映像についてのみ喋ることができず、まるで機密情報を守るセキュリティシステムが入ってしまったようだ。