左腕がない少女の後ろ姿が、フラッシュバックした。あの少女となにか関係があるのだろうか。それとも、あの少女がこの石像の天使なのだろうか。釘付けになりながら、考えを巡らせている時だ。


「お客様とは珍しいですね」


 突然、背後から男性の声が聞こえた。びっくりして振り返ると、身なりのいい白髪の年老いた男性が、扉の近くにいたのだ。