「忘れちゃいけねぇんだけどな」


「忘れていいよ」


「え?」


 善斗くんはきょとんとしている。こんな顔を見たのは初めてだ。僕は思ったことを、そのまま口にした。


「過去のことなんて忘れていいよ。あとは僕に任せて欲しい。善斗くんは穂乃果さんを幸せにしてあげて」