「母の辛いもの好きには困ってますね。この前、作ってくれたカレーなんて特に酷かったですよ」


「確か、善斗くん一口食べたけど、怒ってどこかへ行っちゃたんだっけ?」


「母から聞きましたね? あれは母が悪いです。あのカレー、一度でいいから食べてみてください。オレの気持ちがわかりますから」


「遠慮しておくよ」


 二人は声を出して笑った。釣られて僕と父親も笑った。