冷たい風が吹く。

 最後に会った日からずっと、木村先輩のことを考えていた。もう、考えることすら許されないはずなのに、頭から離れないのだ。

 学校で見かけた時の光景が、記憶から這いずり出て来る。

 大きな目が半分になったのかと思うほど、彼女は虚になり歩いていた。胸が張り裂けて直視することができず、彼女の視界に入らないように立ち去った。