どんなに走っても、最後に見た木村先輩の姿が追ってくるような気がした。

 怯えていたのか、悲しんでいたのか、怒っていたのか、もはや僕にはわからない。でも、傷つけてしまったことは確かだ。

 理由はわからないが、木村先輩は恋愛などしたくなかった。恋愛をしたくない彼女に恋愛感情をぶつけて、心を殴ってしまった。

 僕は彼女のことを、なに一つわかってあげられていなかったのだ。