「そうじゃないのです。僕は木村先輩に恋しています。良かったら付き合ってくれませんか?」


 ロマンチックのかけらもないくらい、はっきり言ってしまった。


「え」


 木村先輩の色っぽい唇から、声とは言えないような音が小さくこぼれた。細い右手で、首から下げたドッグタグを強く握る。