不快な思いをさせたかもしれない。今日は普通に帰った方がいいのだろうか。そんな理性的な疑問を、感情は一瞬でかき消した。

 木村先輩のことを考えていると、心臓がまた高鳴っていく。もう、止まることはできない。止まることはできないが、まだ言うこともできていない。

 その時、木村先輩の歩みが止まった。