「ここまでで、もう十分だよ」


「ご迷惑でなければ、家まで送りたいです」


「迷惑ではないかな」


 良かった。ここでお別れにはならない。まだ、今日は終わらない。

 彼女が学校の方向へ歩き始めたので、僕もその後を追う。駅から離れれば離れるほど、人はどんどん減っていく。通学路から外れてナスカフェを過ぎたあたりからさらに人は少なくなり、気がつくと二人だけになっていた。