「僕の方こそ、そんな大切な作品を一緒に観に行けて光栄です」


 それから、二人は静かに食事をした。

 木村先輩はこれを最期の映画にするつもりで、もう彼女と観に行くことはないのだろう。あと何回会えるかもわからない。

 一秒、一秒、時間は残酷に過ぎていく。どうか今日が終わらないで欲しい。