そもそも、遊びの誘いをするために呼び出したわけではない。僕はなにも考えられず、咄嗟に言った。


「先輩が一番行きたい場所に行きたいです」


 木村先輩は大きく魅力的な口をぽかんと開け、僕をじっと見つめる。だが、すぐにいつもの顔に戻った。ほんの数秒の出来事であったが、長い時間のように思えた。