彼女に奢ることを、今の僕は疑問に思っている。それでも、染み付いたものは簡単に変えらず、お金を払ってしまったのだ。

 考えごとをしている僕に、奈緒が話かけてきた。


「そういえばさ、恋愛映画に興味持ったんだね。意外だったよ」


「ほら、女優が東田蜜菜でしょ?」


「そっか。そういえば、斎藤くんが好きな女優だったね」


「まぁね。だから、この映画に興味持ってさ」