「斎藤くん。どうしたの?」


 淡々としたした柔らかい声が聞こえてきた。足を止め、声がした方を向く。

 そこには心配そうな無表情で僕を見ている木村先輩がいた。今までこんな風に話かけらたことはなく、小テストで冷え切った心が少し温まる。

 本来なら恥ずかしくていえないような話だが、せっかく声をかけてくれたのだから言うしかない。