あれから、木村先輩の笑顔を思い出さない日はない。汚れない花のような笑顔がふとした時に蘇ってしまうたびに、心臓がドキッと脈打つ。

 だが、すぐに恐怖が押し寄せる。感情がこれ以上昂ってしまうと、木村先輩まで失ってしまうかもしれないからだ。関係を進展させられるような魅力が、僕にないことはわかっている。日々、必死に心を落ち落ち着かせているのだ。