なぜ、木村先輩が微笑んだのか。答えが出ない問いを考えているうちに、地元の駅に着いた。いくら考えてもわからず、ぼんやりと歩いている時だ。

 突然、首に強い力を感じた。


「うッ……」


 少しだが苦しく、声が漏れる。

 視線を少し落とすと、筋肉質で色白な腕が見えた。完全にヘッドロックされている。こんなことをする人間は、一人しかいない。