今日という日は、木村先輩が死ぬという事実の上に成立している。

 自身の寿命を彼女が知らなければ、どんな音楽を好きか僕に知ってもらいたいと思わなかっただろう。そもそも、寿命が開示されなければ、木村先輩と話すことすらなかった。

 皮肉なことに死が二人を近づけて、楽しい時間を作ったのだ。