その女性が木村先輩にそっくりなのだ。よく見ると若干違うが、本人と間違えても不思議ではない。

 『奇跡と眠り人』は一枚しかなく、今は借りられている。木村先輩は空になっているDVDのケースを手に取り、まじまじと見つめた。


「これ、私のお母さん」


「え? お母さん、女優さんなんですか?」


「うん」