僕は思わず歩みを止めてしまった。


「斎藤くん、どうしたの?」


「大丈夫です。なんでもありません」


 声から感情が読めなくても、心配してくれたことはわかる。やはり、木村先輩は根が優しい人なのだろう。

 僕は木村先輩と共に、また歩き始めた。