放心状態で人流れに沿いながらロビーまで行く。すると、そこの長いソファーの右端に、地味な服装の女性がうなだれながら座っていた。明らかに男物であるドッグタグネックレスを付けており、失礼だが全く似合っていない。

 真っ白だった頭に、まるで雷が落ちたようだ。この女性に見覚えがあった。僕はいても立ってもいられず、色々な思いを振り切り近づく。