【貸したCDだけど、やっぱり返さなくていいよ。私が持っていても仕方ないし】


 もう、彼女は長くない。だからきっと、自分が所有するものに対してあまり執着がないのだろう。

 返す言葉が見つからず、電気も消さずベッドに寝転がった。暗くしたら、そのまま闇に飲まれてしまいそうだ。

 わずか二週間も経たないうちに、死が身近なものになってしまった。いや、死とは元々すぐ近くにあるのだ。