木村先輩の連絡先を聞いていないことを思い出したのだ。

 この学校に通う生徒の連絡先を、これから初めて聞く。中学生の時は自然にできたが、今は変に緊張している。


「連絡先、交換しませんか」


「いいよ」


 僕の緊張が全く意味をなさないほど、連絡先は呆気なく交換された。

 そういえば今、何時だろうか。気になって教室の時計を見ると、もう戻ったほうがいい時間だ。


「ありがとうございました。そろそろ授業始りそうですので」


「うん」


 CDを貸してくれたお礼も再度言い、三年二組の教室を後にした。