木村先輩が自分の席に座ったので、僕は紙袋を差し出した。


「これ、約束のCDです」


「ありがとう」


 木村先輩は受け取ると机の上に置いた。すると、机の横にかかっていた黒いビニール袋を、僕に渡してくれたのだ。袋には赤い文字の英語で「ユニオン・チャイルド」と書かれている。


「これ、持っていないなら貸すよ。斎藤くんが気に入るかわからないけど」


「え? いいんですか?」


「うん。中身、確認して」


「わかりました」