ふざけるな、という思いがあった。だがこの小数点カードがハズレなだけで、他はもっと楽な指令なのかもしれないと思い、
文句をぐっとこらえてスタートに戻った。すると、友人がカードマスに止まった。
『知らない女の子に告白』
それを見た瞬間、吹き出してしまった。こんなことが出来るわけがない。
「無理だよ・・・」
友人がそう言うと、拓也はにこりと笑った。
「はい、無理ならスタートからやり直しね!」
そんなこんなで進んで行ったボードゲームだが、時間にして10分ほど経った時点で友人が言った。
「これ、ゴールできるの?」
確かに現状ではある程度まで進んだらカードを引いて、出来なければスタートに戻る、という状態を繰り返している。このままでは
誰もゴールができないんじゃないか。そう思っていると、拓也が言った。
「カードに書いてある指令をちゃんとこなせればただのすごろくと変わらないんだから、できるよ」
「これ、テストしたのか?」
拓也の発言にもう一人の友人が言った。
「ボードゲームなんだから、一人でテストなんてできないよ・・・」
「一人でもどれくらいでクリアできるかとかはチェックしておくべきだろう?これじゃどこまで進んでも指令によっては
リスタートになってしまって、全然面白くないよ」
「そうだな。もうやめようぜ」
そう言って、友人二人がボードゲームから離れてしまった。
「あ、おい、待って・・・。じゃあカードは引かなくていいから!」
「それじゃさっき拓也が自分で言ってた通り、ただのすごろくだろ?もういいよ」
その言葉を聞いて、拓也はがっくりと落ち込んだ。そして、二人がいなくなってから俺に話しかけてきた。
「なあ、やっぱり面白くなかったか?」
「ん-、指令がちょっと厳しすぎたかもしれないな。それに、何マス戻る、とかじゃなくてスタートに戻るだっただろう?
それだと折角進んだのにって思いは結構あるかな」
「でも、カードを引かなくても良いって言っても駄目だって・・・」
「さっきあいつらも言ってたけど、それならただのすごろくだからな。楽しさっていうことを考えるならもう少し工夫は必要かも
しれないな」
「そっか、ありがとう!今回の反省を生かして、また作り直してみるよ!」
そう言ってきたので、俺は続けた。
「あ、でも俺がさっき言った通りにする必要はないからな。それだったら俺が作った方がいいと思うし」