「うん。私は父さん……。お母さんのお兄さん。カナソードさんに大事に育ててもらったよ。強くて優しい自慢の父さん。父さんは剣術道場で剣術を教えてくれるんだけど、私は幼い頃、父さんにかまって欲しくて、遊んで欲しくて剣術を教えてって言ったの。そしたら父さん、お前は筋が良いって言って褒めてくれて、それから熱心に教えてくれたの」
「剣術!?ブラウン、あなた剣を使えるの!?すごい!!」

メープルは目を輝かせながら言った。

「だからお姉ちゃんのところに悪い奴が来たら私が倒してあげるよ」

そう言ってブラウンは、剣を振る素振りを見せた。

「わあ、頼もしい妹。頼りにしてるわ」

その日は、ブラウンにとって、とても楽しい一日となった。
姉との再会。そして一日中、メープルと語り合った。夜はメープルの部屋の床に布団を敷いて、夜遅くまでお喋りしていた。
翌日メープルは、手紙に書いた綺麗な景色を見に行こうとブラウンを外に誘った。
家を出てしばらく歩き、丘を登っていく。
丘の上には、灯台が立っていた。

「灯台の中に入って階段を登って一番上まで行くの」

メープルが先行して階段を登っていった。とても長い長い階段だった。登りながらブラウンは、このまま雲の上まで登っていくんじゃないかと思うほどだった。長い長い階段をようやく全て登りきった。一番上に着くとメープルは言った。

「ふぅ。疲れた。私も歳ね。年寄りには、この階段はきついわ」
「もう。お姉ちゃんったら」
「あはははは」
「あはははは」

外に出ると、ビュッと風が吹いた。心地よい風が肌に当たる。
そしてそこから見る景色は、まさに絶景だった。
綺麗な青空、どこまでも続く水平線の海。そして街全体が見える。

「うわぁ!!綺麗!!」
「ね!良い眺めでしょ?」
「うん!凄く綺麗!風も気持ちいい」
「どう?気に入った?」
「うん。ずっと眺めてられそう」

ブラウンとメープルは、しばらく風に当たりながら景色を眺めていた。

「私ね。このラウネリアの街が大好きなの。他の街にも行った事はあるけど、やっぱりずっとこの街で暮らしてたいなって思ってるの。ここが私にとって一番落ち着く場所なんだ」
「そっか。故郷って良いよね。私もコールランドが好きなんだ。お姉ちゃんにとっては、この綺麗なラウネリアが自分の居場所なんだね」