「ちょ、ちょっと……。く、苦しいよ……」
「ああ、ごめんごめん。あまりにも可愛かったからつい……。ほんとよく来てくれたね!長旅だったでしょ?こんなところで立ち話もなんだし、中に入ってよ」
「うん」

メープルと一緒に家の中に入った。

「ガーネットさん。マリアさん。ブラウンが来てくれたよ」

玄関でブラウンが来た事を大声で知らせるメープル。
部屋の奥からガーネットとマリアらしき人が出迎えてくれる。

「ブラウン。よく来たね。君の親戚にあたるガーネットだよ。久しぶりだね。……って言っても、君は当時赤ちゃんで小さかったから覚えていないだろうけどね」
「ブラウン。大きくなったわね。マリアよ。さあ入って」

ガーネットとマリアもブラウンを歓迎してくれた。
部屋に通されたブラウンは、ふかふかの茶色いソファに座った。

「ブラウン。お母さんの顔は見たことある?」
「ううん、見たことないよ」
「そっか……。やっぱり見たことなかったんだね。あなたにお母さんの形見のペンダントを渡そうと思っていたの。これなんだけど」

メープルから渡されたのは、金色の鎖で真ん中に緑色の宝石がはめ込まれたペンダントだった。

「この宝石のところが開くようになってるの。開いてみて」

ブラウンは、ペンダントの宝石部分を触って中を開いた。
茶髪のロングヘアーの綺麗な女性が赤ちゃんを抱いている。右手は、幼い女の子と手を繋いでいる写真が現れた。

「この人がお母さん。パーム・シュガー。で、手を繋いでるのが四歳の私。お母さんが抱っこしてるのがブラウン。あなたよ」
「この人が……お母さん……」

初めて見る母の顔写真が映ったペンダントをじっと見つめるブラウン。

「ブラウンにこのペンダントを渡したかったの」

メープルは言う。

「これ貰ってもいいの?お姉ちゃんの大事な物なんじゃないの?」
「私はもういいの。小さい頃からずっと持ってたから。だからブラウンにあげる」
「そっか……。……ありがとう。大切にするね」

マリアが紅茶を持ってきて、テーブルの上に置いて椅子に座った。

「ねぇ。ブラウン。あなたの事を沢山聞かせて欲しい。今までどう生きてきたとか色々な事を聞かせて欲しいわ」

メープルは、紅茶が入ったカップを片手にブラウンに言った。