二十代前半くらいの色っぽい大人なデザインの黒い服を着た綺麗な容姿をした黒髪のロングヘアーの女性がブラウンに尋ねる。ブラウンは、その女性の着ている服を見て黒の服を着た女は、魅力的に見える。やっぱり黒の服を選んで正解だと思った。

「はい。どうぞ」

ブラウンの言葉を聞くと、その女性は隣に座った。
しばらくお互い喋らずに座っていると……

「どこまで行くの?」

女性がブラウンに話しかけてきた。

「ラウネリアです」
「そうなの。奇遇ね。私もラウネリアなの。メンデルで仕事を終えて帰るところ」
「そうなんですか」
「ラウネリアに住んでるの?」
「いえ。私はコールランドに住んでます。ラウネリアに住んでるお姉ちゃんに会いに行くところなんです」
「そうなの。遠いところから来たのね」

そこからまた沈黙が続いた。
そしてラウネリアの駅に到着した。

「それじゃ。良い旅を」

女性はそう言うと、歩いて行ってしまった。ブラウンは、メープルが手紙で教えてくれた住所がどこにあるのかをその辺の人達に聞きながらメープルの家を目指した。
駅から歩いて十五分。ようやくメープルの家の近所まで辿りついた。

「赤い屋根……。赤い屋根の家……と」

独り言を呟きながら、赤い屋根のメープルの家を探してウロウロする。
途中、何度か歩いている人に尋ねた。
そしてようやく二階建ての赤い屋根の家を見つける。

「うーん、多分ここっぽいなぁ……」

ブラウンは、庭の花壇に水やりをしている同い年くらいの女の子に声をかけた。

「すみません。ここってガーネットさんの家ですか?」

ブラウンの姿が目に入った女の子が声をあげる。

「もしかして……ブラウン?」
「えっ?そうですけど」

ブラウンがそう言うと、手に持ったジョウロをその場にポトンッと落とし、女の子が走ってくる。

「うわぁ!!よく来た!!よく来た、妹よ!!私がメープルだよ!!」

そう言ってブラウンにハグしてきた。
思っていたよりもテンションが高いメープルの熱烈な歓迎に、ブラウンは驚いて戸惑いながら答えた。

「えっ……と、お、お姉ちゃん?」
「そうだよ!ブラウン!うわぁ!!可愛いなぁ!!さすがは、私の妹だ!!私似の美人だ!」

メープルは、ブラウンをハグしたまま、ブラウンの茶髪のショートヘアーをポンポンと優しく叩く。