「うーん……。お姉ちゃんかぁ……。ちょっと会ってみたいかも」

カナソードは、作った料理をテーブルに運んだ。

「よし。できたぞ。まあまずは腹ごしらえだ。飯を食いながら話そう」
「うん。いただきます」

甘いソースがかかったチキンソテーを食べながら話をする。

「うん。美味しい!!やっぱり父さんの料理は、最高だね」
「ガハハハ。そうだろ。おかわりもあるからいっぱい食うといい。ところでさっきの話だが、可愛い子には旅をさせろと言うしな。まあちょっとした旅行だな。行きたいならゆっくり行ってくるといいさ。それにお前程の剣の腕があれば、変な男に襲われても返り討ちにできるから大丈夫だろう」
「いいの?」
「何、遠い親戚の家に遊びに行くだけの話だろう。うちの事は、何も気にしなくて大丈夫だ。ゆっくり遊んで楽しんでこい」
「父さん、ありがとう」

お姉ちゃんは、どんな人なんだろう。
自分に似ている人なんだろうか。どんな顔してるのかな。性格はどんな感じなんだろうか。仲良くなれるかな。何話そうかな。ブラウンは一度も会った事がない姉、メープルに会えるその日が来るのをワクワクしながら旅の準備を始めた。出発する日の前日の夜は、会った事のない姉、行ったことのない都会の街、どんな服を着て行こう。そんな事を考えるとワクワクしてなかなか眠ることが出来なかった。

そして、ついにその日がやってきた。
ブラウンは、どの服を着て行こうかと直前まで悩んだ末、結局選んだのは、漆黒の黒い服だった。黒は女の魅力を引き立ててくれる。そんな事を昔、何かの本で読んだ気がしたからだ。

「父さん。それじゃ行ってくるね」
「気をつけていけよ。楽しんでこい」

ブラウンの住んでいるコールランドからラウネリアまでは、列車に乗っていく。
列車に一人で乗る事は何度かあったが、ラウネリアほど遠くまで行くのは、初めての事だった。コールランドからラウネリアまで、列車に乗って三日かかる。列車に乗り込むと、ブラウンは適当に空いている席の窓際に座った。列車からぼーっと景色を眺めている。列車に揺られて二日が経過した頃、大都市メンデルの駅に着いた。メンデル駅からは、一気に乗客が増えた。

「ここいいかしら?」