圧倒的な火力のファイヤーボールが、記憶操作の悪魔に襲い掛かる。

「ぎゃあああああああああ!!!!あ、熱い!!熱い!!くそうっ、ブラウン・シュガー。お前、いつの間に魔法を……!!くそっ……忌々しい。お前のその顔を見ていると、パーム・シュガーを思い出す。くそうっ、くそうっ!!」

ファイヤーボールを直接受けてダメージが大きい記憶操作の悪魔は、動きが鈍くなった。

「やああああああああああ!!!!」

ブラウンは、剣先に炎属性の魔力を込めた。
ジャガリーに教えてもらった炎属性の応用技だ。

「剣から炎が!?ぎゃああああああああ!!!!お、おのれぇ……。ブ、ブラウン・シュガー……。お、俺は……俺様は……お前なんぞに……」
「やぁああああああ!!!!」

記憶操作の悪魔の頭に向かってブラウンは、思いっきり炎の剣を振った。

「ぎゃああああああああああああああ!!!!」

記憶操作の悪魔は、その場に倒れた。
黒い霧のような蒸気が出て、悪魔は消滅した。

「……や、やった……。倒した……。やったよ……父さん……。仇は……うっ……ううっ……とったよ……。ぐすんっ……ううっ……ううっ……うわぁああああ」

ブラウンは、父カナソードの変わり果てた死体を目の前に、その場で泣いた。泣いて泣いて泣き続けた。涙が枯れるまで泣き続けた。

それからブラウンは、カナソードの死体を埋葬し、墓を建てた。

「父さん……。私、決めた事があるの。父さんも言ってくれたよね。可愛い子には旅をさせろって。私、旅に出るよ。この世にいる悪魔を倒して回る。私のやりたい事、私にしかできない事。それは、父さんから教えてもらったこの剣とジャガリーさんから教わった魔法。この二つの武器を使い、私は全ての悪魔を根絶やしにする。……それが私の生きる道だ」

終わった。ブラウンの復讐は終わった。
母と姉、そして最愛の父カナソードを殺した悪魔を殺す事で自らの復讐を果たした。
愛する人を失ったブラウンは、悪魔殺しの旅に出る事を決める。
悪魔に苦しめられている人達を助け、この世の悪魔を全て殺すと決意して。

彼女の戦いは続いていく。
そして後に世界でその名を知らぬ者はいなくなる。

漆黒の服を身にまといし、白髪の悪魔殺しの少女。
その少女、名はブラウン・シュガー。