こうしてブラウンは、記憶操作の悪魔に記憶操作の魔法ミストをかけられた。
この赤い屋根の家で姉メープルと会い、楽しい思い出を過ごした。
そして目の前でメープルを殺され、ボロボロになりながら悪魔を倒した。
そんな夢を。

「お前がメープルから受け取った手紙も、カナソードが置いた手紙も全部この俺様が書いたものだ。ククク、ハハハ、ヒャハハハハハハ!!!!」
「うっ……ううっ……うわぁああああああああああああ!!!!うっ……ううっ……ううっ……ううっ……」

ブラウンは、その場で泣き崩れた。メープルと一緒に過ごした楽しい時間は、記憶操作の魔法ミストによる偽りの記憶だった。メープルは、すでに記憶操作の悪魔に殺されていて、メープルだけでなく、母であるパーム。そして最愛の父カナソードも殺された。

ブラウンは、大切な人を全て奪われた。
残酷な真実を突き付けられたブラウンは、ショックの余り、綺麗な茶色のショートヘアーの髪は、あっという間に白髪へと変わり果てた。

「ククク、ハハハ、キャハハハハハ!!ショックで白髪になっちまったな。ククク。さてどうしてやろうか。ブラウン・シュガー。今ここでもう一度、記憶操作の魔法をかけて幸せな夢を見せてやって、それからまた解いて。何度もその絶望する表情を見せてもらおうか。お前は何度も何度も記憶操作の魔法で幸せな夢を見て、そして解かれて絶望しろ。心が完全に壊れて廃人になるまで、何度も何度もだ。ヒャハハハハハ!!!!」

記憶操作の悪魔は、ミストを発動させた。
しかしブラウンは、すでにジャガリーにより、ラップの魔法を覚えていて再びミストにかかる事はなかった。

「記憶操作の魔法が……かからない!?どういうことだ?なぜミストがかからない」
「許さない!!!!私はお前を!!!!絶対にお前を許さない!!!!やぁあああああ!!!!」

ブラウンは、剣を振った。
しかし記憶操作の悪魔は、それをひらりとかわした。

「……まあいい。もう記憶操作の魔法が通じないというなら……今すぐここで殺してやる。死ね。ブラウン・シュガー」
「はぁあああああ!!!!」

もう一度ブラウンは、剣を振った。
しかしまたかわされる。

「ファイヤーボール!!」

ブラウンは、ファイヤーボールを悪魔に向かって撃ち込んだ。
ブラウンの怒りの気持ちは、頂点だ。