気が付いたらブラウンは、よく分からないどこかの部屋にいた。

「気が付いたのね。よかったわ。薬が効いたのね」

そこにいたのは、列車の中で相席になった二十代前半くらいの色っぽい大人なデザインの黒い服を着た綺麗な容姿をした黒髪のロングヘアーの女性だった。

「あっ……。あの時の……」
「偶然ね。まさかあなたとこんな形でまた会えるとは思わなかったわ。体の具合はどう?どこか痛むところはある?」
「いえ、大丈夫です。でも傷だらけだったはずなのにどうして……?もうほとんど治ってる」
「私があなたに体の回復力を上げる薬を飲ませたからね」
「私、一体どうしてここに……」
「あなたは、赤い屋根の空き家の前で倒れたの。全身傷だらけで酷い有様だった。それで魔女である私のところに、近所に住む男の人があなたを背負ってここまで運んできたの」
「魔女……?」
「ああ、そうね。自己紹介しなくちゃね。私はジャガリー。魔法や薬を研究している魔女よ。あなた、名前は?」
「ブラウン・シュガーです」
「ブラウン。そう……。ねぇ。ブラウン。どうしてあなたは、傷だらけで空き家である赤い屋根の家の前にいたの?あなたの体は、とても酷い怪我をしていた。一体何があったの?」
「あの赤い屋根の家は、私の親戚の家なんです。ガーネットさん、マリアさん、それからお姉ちゃんのメープルが住んでいて、私はコールランドから遊びに来ていたんです。それでお姉ちゃんのお気に入りの景色である花畑を見に行って、そこに悪魔が現れたんです。お姉ちゃんは目の前で悪魔に殺されて、私は悪魔との戦いになりました。そして剣で悪魔を倒しました。それでガーネットさん達に、お姉ちゃんの事を知らせに帰っていたんです」
「ガーネットさん……。そうね、確かにあの赤い屋根の家に住んでいた人は、確かそんな感じの名前だったわ。私は会った事はないけど……。なるほど……。悪魔か……。噂には聞いた事があるわ。時々、人が行方不明になる時がある。それは悪魔の仕業だと言われている。世界には悪魔がいるとね。でもそれは、あくまで噂。この世に本当に悪魔に出会った人間の話は、聞いたことがない。それは助かった人がいないからかもしれない。でもあなたは、実際に悪魔と出会い、戦って倒したというのね?そしてその戦いで、あれだけ傷だらけになったのね」
「はい」