悪魔はまた雄叫びをあげ、左右の腕を使ってブラウンに襲い掛かってくる。攻撃パターンは、腕での攻撃のみの単調な攻撃だが、そのスピードとパワーは、尋常ではない。ブラウンは、悪魔の攻撃をなんとか回避しながら、次は悪魔の足に向かって剣を振るう。

「はぁああああああ!!!!」

悪魔の足に当たった刃は、やはり皮を少しだけ削っただけで、致命傷を負わせる事はできなかった。

「……腕も足もダメ。体にも刃が通らない。なら……狙うのは、首」

ブラウンは、悪魔の攻撃を何度も回避しながら首に狙いを定めた。

「そこっ!!!!はぁああああああああ!!!!」

ブチンッと繊維のようなものが斬れる感触があった。
そしてそれと同時に悪魔が雄叫びをあげる。

「グォオオオオオオオ!!!!グォオオオオオオ!!!!」

今までの気合の入った雄叫びとは違い、今度のは、どこか苦しんで悲鳴をあげているかのような雄叫びだった。悪魔は手で、首を抑えている。
ブラウンはそのまま、悪魔の右目に向かって剣を突き刺した。

「グォオオオオオオオ!!!!ギギャアァアアアアアアア!!!!」

更にそこから剣を抜いて、次は左目を突き刺す。

「ギギャアアアアアアアアア!!!!」

悪魔は両目を手で抑えている。首が露になった。
ブラウンは、ジャンプし、悪魔の首に向かって袈裟懸け。

「はぁあああああああ!!!!」

ブラウンは、渾身の力を込めた一撃を叩きこむ。

「シャァアアアアアアア!!!ギャアアアアアアアア!!!!」

悪魔は、崩れ落ちた。その巨体は、ドスンと音を立ててその場に倒れ込んだ。
そして黒い蒸気のようなものが現れて、悪魔の体を包んだかと思うと、その体ごと蒸発して、その場から消えた。

「はぁはぁ……はぁはぁ……や、やった……」

ブラウンも疲れ果て、その場に座り込んだ。
傷も負っている為、かなり消耗している。

「はぁはぁ……。はぁはぁ……。……お、お姉ちゃんは……?」

ブラウンは、メープルの方を見た。
メープルは倒れていて、ピクリとも動かなかった。
花畑には、メープルの血が流れていた。

「ああっ……ああっ……!?お、お姉ちゃん……!?お姉ちゃん!!!!お姉ちゃん!!しっかりして!!」