田舎町コールランド。程良く自然があり、人口はそれほど多くはない町だ。農業が盛んであり、野菜は多くの街へと出荷されている。のんびりとした田舎特有の静かで澄んだ空気。ゆっくりと流れる時間の中で時間を過ごす。これがこの町の良いところだ。森の中には、獣もいるが、町と森の境目の所には、獣避けの薬が撒いてあるので、獣は町へ入ってくる事はない。しかし、あえて森の中に入る者もいる。それは、森の中の木を倒して広場を作った者だ。なぜ広場を作ったのかというと、それは密かに剣の訓練をする為であった。森の中の広場で、剣と剣がぶつかり合う音が響き渡る。

「はっ!!やっ!!」
「浅い!!もっと回転を上げて連続で打ち込んでこい。手数を増やせ」

そこには茶髪でショートヘアーの可愛らしい少女と、茶髪でウルフヘアーの中年の男がいた。少女の名前は、ブラウン・シュガー。十四歳。中年の男の名前は、カナソード。カナソードは、ブラウンの叔父にあたる。カナソードは、剣術道場を開いていて、剣術を教えて生計を立てている。剣術道場といってもコールランドの子供達の為の子供の習い事だ。カナソードの元で子供の運動不足を解消させる事を目的に、剣術を習わせるような親がいるのだ。中には騎士団に憧れたから剣を習いたいという子供もいる。剣術道場は町中にある。剣術道場では多くの子供達が日々、剣の練習をしている。森の中の訓練場は、ブラウンとカナソード専用の秘密の訓練場だ。なぜ同じ場所で訓練しないのかというと、ブラウンの剣術のレベルが高すぎるからだ。そこら辺の子供達と一緒に訓練すると、子供達は自信を無くしてしまう。だからカナソードは森の中に、ブラウン専用の秘密の訓練場を作ったのだ。
激しい稽古がしばらく続いて、カナソードがブラウンに声をかける。

「よし、そこまで。今日はこのくらいにしておくか」
「はぁ……はぁ……ありがとうございました」

ブラウンは、カナソードに向かって礼をする。剣士には、師に対する礼儀の気持ちも忘れてはならない。とても大切な事だ。

「ブラウン。お前は本当に筋が良い。将来、お前が道場を継いでくれたら、父さんも楽できそうだ。ガハハハハ」

ブラウンは剣の筋が良く、勘も良いし動きも良い。剣の才能がある。