「少し……」

「焦らず少しずつ上手になれば良い」

「でも……」

「それが駄目だと言うなら、自然と仕事は無くなるはず。
辞めるのは、その時でも良いんじゃない?
演技、好きでしょ?」

「好き!!!」



似てる……。



『莉恵子は演技するの好き?』

『うん!!!
大好き!!!』



演技をするのが楽しくてしょうがなかった頃の私に……。

戻りたいな……あの頃の私に…。

演技は下手だけど、あの時が一番幸せだったから……。



「莉恵姉はもう演技やらないの?」

「やらないわよ!
私は演技下手なんだから…」

「下手でもやれば良いじゃん。
演技するの好きでしょ?」

「下手じゃ駄目でしょ…」

「好きでしょ?」

「下手ってば…」

「好きでしょ?」

「………。
好き……」