「ま。そんなん知らんからとりあえず連れて帰ろ。」




「親に失踪届けでも出されたらどうするんすか。」




後ろに居たスーツのおじさんの1人が声をあげた。




でも心配しないで。




「居なくなって失踪届け出すような親じゃないよ。どちらかといえば『ゴミが居なくなって清々している、しかし召使いがいないと少し困る。』的なことでも思うんじゃないの」



「は。何言ってんの?」




イケメンのお兄さんからとげのある声が聞こえた。




「君のことゴミだなんて思うような親からこんな良い子が生まれてきたなんて何をしたんだろう。」





「さあ。そんなこと知ったことじゃないし。」




「とりあえずうちこない?」




「え?なにいってんの?イケボの兄ちゃん」




そりゃ、家に帰りたいわけじゃないんだからありがたいっちゃありがたいけど。




「何いってんの、はこっちのセリフ。わざわざ迎えに来てんだから。」




「え、でもやっぱ悪いし。」




「もううるさいなあ。杵築(きづき)祐樹(《ゆうき)。この子車にさっさと乗せて。」




「「はっ。」」





そのような会話をして数分後、無駄に長い車に乗ってどこかに向かう羽目になった。




最近寝てなかったからかすげえ突然眠くなってきた。




睡魔に抗うことなく眠りについた。




それからどれだけ経ったか、目が覚めるとすげえ豪邸の前に車は止まっていた。




「げ、なにここ。」




「え?俺の実家。」



「実家住まい?」




「んや。無事拾ったって報告しに来ただけ。」




「え、なんで?」




「そんなん気にすんな。ま、俺んちは渋谷110《イチイチマル》の地下の92番街の一番奥。」「げ、自慢?」




「えぇ~私あそこ嫌いなんだけど。」




「まあまあ。なんできらいなん?」