その声の先にはスーツをチャラく着こなすイケメンと強面黒スーツ集団がいた






知らない人に突然話しかけられてびびった。




「は?何が?」




すっとぼけてみた。




「カワイイ。」



「?」




「よし。連れて帰るぞー」




「わ、若。いくら何でもそれは。」





え?何。誘拐されんの?




体が死に急いでるような奴を誘拐してどうすんのかが分からん。




「え、なんで。やだ。帰る。」




「ねえ。」




「ん?」




「君に帰るとこなんてあるの?」




「?」




「いやぁさ。ちょっと調べてみれば出るわ出るわ。家庭状況見る限り安心出来る場所ないんでしょ?」



「………。」




「なんでそんな怖い顔すんの?」




勝手に私の中に踏み込まれた気分。吐き気がする。




「勝手に調べたり話したりして傷付いた?」




その問いには首を振るだけで答えた。今は声を発したくない気分。




声を発したらその小さな隙間から心に踏み込まれそうだから。