―――命名…?




その紙は、父の再婚相手、由美さんの妹の娘。要するに由美さんの姪っ子のものだった。




“命名中埜 空”




と力強く書かれた紙を見て全身から力が抜けた。





その人と思わしき人と毎晩テレビ電話をしているのは知っていたがその親しげな様子からは目を背けていた。




父には自分がいなければ他に大切にしたい物がたくさんあるのだと知った。




今日その空ちゃんと、父が電話している時にあだ名とは分かるけど。





「パパ、パパ。」って呼んでるのが耳に入って自分の中で、何かが崩れていく音が響いた。




私を必要としている存在ってやっぱ居なさげだな。




母には「お前のせいで私は可笑しくなった。全部お前のせい。出ていけ。死ね。失せろ。社会のゴミが。」って




別れ際に言われた。




あの瞬間の絶望だけは忘れられない。




信じてきた物が全て蔑ろにされた気分だった。




あれ以来かな。




信じるのが怖くなったのは。




「でも結局は決めなきゃいけないんだよね。」




「やっぱり死にたい。」




「消えて無くなりたい。」