そんなことを話していたが私の前には最上階が見えないくらい高いマンションが立っていた。




「え、何ここ。」




「おい、俺ここに連れてこいとは言ってないけど。」




「だって家にって言ったじゃん。」




「こっちじゃないのはわかってんだろ。」




「ここは組で買ったマンションだけどお前の家だぞ。」




「俺の家っつったら92番街のほうに決まってんだろ。」




「だってさっき、有価(ゆうか)ちゃんがあそこ嫌いって言ってたし。」




「それお前があそこ嫌いなだけじゃん。」




「嫌いなもんは嫌いだし。」




それまで地蔵と化していた私が口を開いた。




「ここも家なの?すごいじゃん。」




「え?すごい?有価(ゆうか)?ホント?」




「疑問符がうざい。」




「こいつのこうゆうとこ嫌いなんだよね。」「(はるか)さんでも嫌いなものあるんですね。」




「ま、俺も人間だしね。」




「はぁ。」




「ん?」




「やっぱ、帰ります。」




「は?」「え?」



(はる)(はるか)さんの声が重なってよく聞こえなかった。




私は聖徳太子じゃねえっつうの。




同時に2人に話しかける事ならできるけど。




「ははるかさるん、ななんてにいっているいまかさっしぱりたわかからん。