「701番 菊井さん。どうぞー。」

「失礼します。」

そう。ここは病院。最近す、す、澄麗のことを思い出せない。その理由を知るために病院に来た。

   *

「えーそれで、彼女の誕生日を忘れたり、名前を忘れたり、彼女さんのことだけ忘れる。
で、合ってますか?」

「はい。僕はなにかの病気なんですか?」

「大変申し上げにくいのですが、恐らく

“解離性健忘”かと思われます。」

「“解離性健忘”……ですか?これはどう言った病気なんでしょうか?」

「えー、その中でも“系統的健忘”だと思います。特定の人や家族に対する全ての情報など、特定のカテゴリー情報を忘れてしまう病気です。」

「そ、それは治るんですか?」

う、嘘だろ。健忘?なんだそれ。

す、、すみ、澄麗のことを忘れていく!?

いやだ。傷つけたくない。

今まで覚えたいたと思っていた澄麗の好きな食べ物は?趣味は?……そして、顔…は?


確かに思い出せない。なんで?いやだ、いやだいやだいやだ!

「いやだ!」

「お、落ち着いてください。菊井さん。
治ります。

ただ、100%ではないですが治る人は治ります。
強いストレスには気をつけてください。」

「……は、はい。」

   *

なんでこうなったのだろう。たしかに友達の顔や名前、数名だが誕生日は覚えてるし、

共通の趣味や、話した内容など思い出せと言われれば事細かに思い出せるのに

ただ、澄麗のことだけがどこかあやふやでも思い出せない。

澄麗には言えない。怖い。申し訳ない。心配かけたくない。

もうほとんど覚えてないならいっその事
冬休みになれば転校すれば……。

いや、そうしよう。澄麗には何も言わずにになるだろうけど、申し訳ない。

でも、このままいるとお互いが辛くなっちゃうから……。

ごめんね。本当にごめん…。