メールの音だ。

見なくていっか。

って、え?今の通知の音って、、、。

やっぱり陽凪薫だ。今更連絡してきて。

2年も経って私は学校に行けなくなって退学になった。
そんな状況で会えないよ。

今更連絡してこないで、、、。

ま、まぁ、見てあげないことはない、かな。

【突然の連絡ごめん。
あの時は突然姿を消してしまってごめんなさい。あのことの真相や、話したいことがあるから、逢ってくれないだろうか?】

しんそう?なにかわけがあったんだ。

知りたい。けど、こわい。

に、2週間後なら心の準備はできる、、、かな。うん。できる、、、はず。

【お久しぶりです。
お元気でしたか?突然の連絡驚きました。
今すぐは難しいので約2週間後の4月初め頃に陽凪薫くんのご都合がよろしければ
埼玉県のあの公園で待ち合わせはどうでしょうか?】

うっ、堅苦しい。でも、こんなのしか送れないよぉぉぉ。


もう1時間以上格闘してるし、もう諦めて送るかぁ、、、。


   *

4月初め

あの公園。

久々にすぎて喋れないぃぃぃ!!!!

まず気になるのは何その腕!!

神様守ってくれてました!?

消えた真相は話してくれるからいいとして、
ほんと気になるのは腕よ。

もう会ってからベンチに座ってかれこれ10分以上どちらも一言も喋ってない。

いや、体感時間がそう感じるだけで、もしかしたら5分いや、1分ぐらいかもしれない。


あれ、、、?
喋らないの?

私から喋るかぁ、、、。

よしっ!

「「あ、あのっ!」」

かぶったぁぁぁぁ。

「「先どうぞ。」」

なぜ、またかぶる笑

喋らない?
私から喋った方がいいのかな?

「じゃ、じゃあ、僕から話すね。

長くなるかもだけど、、、。


ちょ、ちょっと待って。まとめる。」

喋ってくれてよかったぁ。

「うん。ゆっくりまとめて。」

約3分後。

「ん、大丈夫。まとめれた。

今から話すけど質問があれば最後に。

とりあえず全部聞いて欲しい。」

「わ、わかった。」

「えっと、まず、姿を消した理由は
病気で澄麗のこと忘れ始めて、
そんな自分が嫌になって何も言わず姿を消しちゃったんだ。

まず、ごめんなさい。

で、つい最近っていっても、1ヶ月ほど前まで、完全に忘れてしまってたんだ。

で、思い出したきっかけは……。

そ、その前になんの病気か言ってなかったね。

正式名称は忘れちゃったけど“健忘”っていう種類の中のやつで、特別な人や家族のことを忘れるらしい。

それで、他の人のことは覚えてるのに
だんだん澄麗のことばかり忘れていって、

何も言わずに逃げてしまったんだ。

治る人もいるし、治らない人もいるらしくて
全然治らなかったんだけど、

あることをきっかけに思いだして、
いま、ここに至ってるって感じかな。

まとめるとこんな感じ。

“ほんと今更会いに来ないでよ”とか
“で、なんで会いに来たの?”って、思ってるかもしれないから言うね。

1度は忘れてしまったけど、だけど今まで何かが心にひっかかってて、それが澄麗のこと“好き”ってこと、

ううん、澄麗のこと心の底から“愛してる”ってのがわかったから。

それだけ伝えに来たんだ。

聞きたいことある?」

「えっとねぇ、聞きたいことはありありなんだけど。

まず1つ目は、その腕。何があってその腕なのか。

2つ目は、病気の原因ってなにだったのか。

3つ目は、思い出したきっかけはなにだったのか。

とりあえず大きいのはこの3つかな。」

「わかった。先に2つ目から答えるね。

1つ目と3つ目は関係してるから。

原因はね。ストレスらしい。

ちょうどもみじが色づくあの頃に、

いじめられてたんだ。

そのストレスでなっちゃったっぽい。

どうせ忘れるなら澄麗のことじゃなくて、
いじめられたことやいじめてきた人のことを忘れれたならよかったのにね。

それと、腕と思い出したきっかけが関係していて、

車に轢かれたんだ。

それが3月初め。
10日寝ていたらしいけど、まぁ、この通り元気だよ。打ちどころがよかったらしい。

その10日の間に夢に澄麗が出てきて
思い出させてくれたんだ。忘れてたこと。」

「そっか、車に、、、、。

って、車!?

しかも、10日も寝たきりだったの!?

いじめられてたの知らなくてそこ驚いてたのにそれ忘れるぐらいのぶっ込んできたね。」

「へへっ。ごめんね。

で、これが真相。もう、伝えれたから帰るね。

バイバイ。」

バイバイ?“またね”じゃなくて?

もう会えないの?

そんなの嫌だよ。

「ま、待って!

最初は“今更何逢いに来てんのよ。”
とか思ってたけど、それでも好きだったし、
今も好きだから、
だから、行かないで。」

そっと瞳を閉じて…。