「なんだなんだ。もしかして照れてんのか?」

 そんな俺にさらに降りかかる火の粉に、過剰に反応してしまう俺は、

「ちっげーよ、バカ!」

 思わず頭をパチンッと弾く。

 教室での俺の立ち位置は、元々特に目立つわけじゃない。かといって目立たないわけでもない。バスケ部に所属していたら嫌でも目立つ。その理由は、運動部はなにかと目立ちたがりが多いからだ。率先して盛り上げようと中心に立つやつがいる。現にこいつもそうだ。

 俺はなるべく目立たないよう過ごしてきたつもりなのに、友達の明るさのせいで俺まで注目を浴びてしまう。

 それが面倒だと思っているのに一緒にいるのは、居心地がいいからだろう。

「バカってなんだよ、バカって。俺、小牧より頭いいっつーの!」
「そうやっていちいち言い返すのをバカって言うんだよ」
「じゃあお前もじゃん」
「なっ……!」

 言い返せなくなり、言葉に詰まると、「な?」といたずらっ子の笑顔で俺を見るから、なんか無性にイラッとして。スネを蹴ってやる。

「いって、いったぁ……!」

 そうしたらわざとらしくスネを抑える、オーバーリアクション。ちらちらと見てるの、バレバレだっつーの。

 こういうところ、ほんとアホ。

「バスケ部ならせめて手で叩けよなぁ……足ってなんだよ、足って」
「お前がサッカー部じゃん。だからつい癖で」
「はぁ? 俺が言うならまだ分かるけど、さすがにその嘘バレバレだから!」