それから母さんに打ち明けることにした。

 そうしたら母さんは、驚いていたけれど分かりやすく祝福してくれることはなくて。
 その代わりに『頑張りなさいよ』たった一言だったが、そう言ってくれた。

 それだけで少し認められた気がして、嬉しくなった。

 ──そして試合当日。

 一ヶ月前ほどとは計り知れないほどの緊張を背負ってユニフォームを着ていた。緊張でどうにかなってしまいそうで。

「今日は俺たち三年の最後の試合になる。泣いても笑ってもこれが最後だ。だからと言って俺たちの本気が出せないのはダメだ。一、二年だからって遠慮はいらない」

 キャプテンが円陣を組んでいるときに、みんなを見渡して声をかける。

 初めてのユニフォームに、試合の緊張感に、俺は飲み込まれそうだ。

 けれど、たくさんの声援や白熱した声が体育館の温度を上げ、俺の鼓動もそれに同調するように加速する。

 けれど、俺は一人じゃない。

 みんながいる。仲間がいる。俺を認めてくれる人がいる。

 ──俺はもう、大丈夫だ。

「ここにいるみんなは仲間だ。お互いを信じ合い、ゴールまで繋げ。悔いの残らないように全力で挑むぞ!」

 気合いがばんばん伝わってくる。

 熱量が上昇して、高揚する。

「「──はいっ!!」」

 みんなで声を揃えて円陣を組んだ。

 気合いを入れた。

 俺はもう迷わない。

 みんなを、仲間を、そして自分を信じる。

「では今から試合を始めます」

 審判の声が、クリアに聞こえた。

 ──ピーッ

 ホイッスルが鳴り響き、天高くボールが弾ける。

 俺たちの試合が始まった。

 未来へ向かって、一歩前進。

 みんなでボールを繋ぐんだ──