「本来でしたら、宍尾宏樹(シシオヒロキ)50歳が交通事故でこの世を去るはずでした。

それが神様が名前を書き間違えてしまって…」

「俺が死んだ、と言う訳か…?」

「はい、そう言うことです」

首を縦に振ってうなずいたモアイ像に、
「間違いだったって…じゃあ、俺はどうすればいいんだよ!?」

宏美は悲鳴をあげた。

「残念ながら葬式も終わって、遺体はすでに火葬に入られてしまっています」

そう言った馬に、宏美は倒れそうになった。

(って、倒れるも何も俺はもうすでに死んでたな)

宏美はパチンと手で額をたたいた。

「だけどな、君にはまだ寿命があるんや」

神様が言った。

「少なくとも、後60年はあるんや」

「ろ、60年!?」

宏美は驚いて聞き返すことしかできなかった。