宏美は、自分の心臓がドキッ…と鳴ったことに気づいた。
よく知っているはずの彼女の顔が大人っぽくなっていることに気づいた。
胸元まで伸びた黒い髪がサラリと揺れて、甘い香りを放っている。
三白眼の二重の切れ長の目が濡れたように見えて、とても色っぽかった。
「――心美…?」
宏美は、彼女の名前を呼んだ。
軽く口に出すことができていたその名前を呼べなくなっていることに、宏美は気づいた。
「何?」
心美が首を傾げた。
「あっ、いや…」
宏美は首を横に振ると、
「好きな人、いるんだな…」
と、呟くように言った。
「いるよ」
心美が言い返した。
「でも、当の本人は相当なまでに鈍いみたいだけど」
続けて言った心美に、
「へ、へえ…」
宏美はそう返事をすることしかできなかった。
よく知っているはずの彼女の顔が大人っぽくなっていることに気づいた。
胸元まで伸びた黒い髪がサラリと揺れて、甘い香りを放っている。
三白眼の二重の切れ長の目が濡れたように見えて、とても色っぽかった。
「――心美…?」
宏美は、彼女の名前を呼んだ。
軽く口に出すことができていたその名前を呼べなくなっていることに、宏美は気づいた。
「何?」
心美が首を傾げた。
「あっ、いや…」
宏美は首を横に振ると、
「好きな人、いるんだな…」
と、呟くように言った。
「いるよ」
心美が言い返した。
「でも、当の本人は相当なまでに鈍いみたいだけど」
続けて言った心美に、
「へ、へえ…」
宏美はそう返事をすることしかできなかった。