天井に浮かんだのは、心美の顔だった。

幼い頃から常に一緒にいるのが当たり前だった。

小学校や中学校はもちろんのこと、高校も大学も一緒だった。

心美を幼なじみから女性として意識したのは、いつだっただろうか?

(あれは確か、高校生になったばかりの頃だっただろうか?)

宏美はその当時の出来事を引っ張り出そうとした。

「――好きだったんだな」

モアイ像の声が聞こえたので、宏美は出来事を引っ張り出すのをやめた。

「ああ、好きだったよ。

ミヒロとして生まれ変わった今でも、心美が好きだと思ってる」

宏美は自嘲気味に笑った。

「ずーっと一緒にいるのが当たり前だった。

あいつをただの幼なじみから1人の女として意識するようになったのは、高校生になったばかりの時だと思うんだ」

宏美はその当時の出来事を振り返った。