「小祝さんは小祝さんだなと思いまして」

そう言った大山に、
「言っている意味がよくわからん」

小祝は呆れたと言うように言い返した。

(きっと誰かと勘違いをしているんだろうな)

先ほど職務質問をしてきた警察官たちを思い出しながら、大山は心の中で呟いた。

(そもそも、“一択”って言う名前自体がもう珍しいんだ。

恐らく、同じ名前の誰かと小祝さんを勘違いしているかも知れないな)

そう結論をつけた大山は、首を縦に振ってうなずいた。

「おーい、何をしてるんだ?

早く中に入るぞ」

小祝に声をかけられて視線を向けると、彼はミヒロと一緒に『ブルーグラス』に入ろうとしていた。

「ああ、はーい」

大山は返事をすると、彼らと一緒に『ブルーグラス』の中に足を踏み入れたのだった。