「忘れられないって言って、泣いてたぞ」

そう言った大山に、ミヒロは視線を向けた。

「あんた、彼女に“宍戸宏美に依存するな”って言ったらしいな」

「ああ、言ったさ」

ミヒロは大山に言い返した。

「だけど、もう“この世”にいないんだよ」

続けて言い返したミヒロの顔がどこか苦しそうなことに、小祝は気づいた。

「“宍戸宏美”は、もういない人間だ。

もうここにいない人間に依存したって仕方がない。

それだったら、忘れてくれた方がずっとマシだ」

「あんた、新参者のくせによくそんなことが平気で言えるな。

心美ちゃんがどんな思いで毎日を過ごしていると思っているんだ!?」

「そんなこと、俺が1番よく知ってる!

あいつには俺のことはもう忘れて、幸せになって欲しいと思ってるんだ!」

そう言ったミヒロに、大山と小祝は目を見開いて驚いた。