「日出さんに言われたんだ。

いつまでも宏美に依存しているのはよくないって」

「彼女、そう言ったんだ」

そう言った大山に、心美は首を縦に振ってうなずいた。

「宏美を忘れることが宏美のためになるんじゃないかって、日出さんに言われた」

「心美ちゃんは、それでいいと思ってるの?」

大山は聞いた。

「あいつのことを忘れて、それで幸せになれると思ってるの?」

大山の質問に、心美は首を横に振って答えた。

「忘れたくないよ…。

宏美のことを忘れたくないよ…。

ずっと、ずっと、宏美のことを覚えていたいよ…」

心美の目から涙がこぼれ落ちた。

唇を開いて言葉をつむごうとするけれど、震えているせいで上手に動かすことができなかった。