爪には真っ赤なマニキュアが塗られていた。

ペディキュアだ。

一見すると毒々しい色だが、白い脚にその色はよく映えていた。

「どうも」

小祝はミヒロに会釈を返すと、
「あの、お昼はもう食べましたか?」
と、聞いた。

「いえ、まだですが…」

ミヒロは首を横に振って小祝の質問に答えた。

「もしよろしかったらですけど…」

小祝はそう言うと、手に持っていた紙袋から何かを取り出した。

それはハンカチに包まれていた。

「何ですか?」

ミヒロが首を傾げて質問をすると、
「お弁当を作ってきたんです」

小祝は答えた。

「お弁当ですか?」

ミヒロは訳がわからなくて、小祝に聞き返した。

彼は何を思って自分に弁当を作ってきたのだろうか?