ミヒロが『FEET』のメンバーになったその日に行われた飲み会で、好きなアーティストの質問に彼女はそう答えたのだ。

「別に珍しくも何ともない…」

そこまで言って武藤は気づいた。

「共通しているな」

「そう思わないか?」

「でも、珍しいことなんてないだろう?

たまたま好みがかぶっているって言うだけのこともある」

宗助の表情は変わらなかった。

「好みがかぶっているのはよくあることだと僕も思う。

でも、理由もかぶっているって言うのは奇妙じゃないか?

彼も日本語の美しさがよく出ているからって言う理由で、彼らの曲を好んでた」

宗助はタンブラーを口につけた。

「まさか、な…」

その様子を見ながら、武藤は呟いたのだった。