大山は苦しそうな顔をすると、裏口のドアを開けて中に入ったのだった。

バタンと、裏口のドアが閉まった。

「大山さん、どうなるんだろうな?

俺にも何かできないかな?」

そう呟いた宏美に、馬はどうしたもんじゃろかと言うように腕を組んだ。

「あっ、それよりもヤクザたちは?

お前が指をパチンと鳴らしたとたん、あいつらどこかに消えたじゃんか」

思い出したと言うように聞いた宏美に、
「ああ、あいつらなら飛ばした」

馬がそれがどうしたとでも言うように答えた。

「と、飛ばした?」

訳がわからなくて、宏美は聞き返した。

「今頃はアルゼンチン辺りにでもいるんじゃないか?」

馬はそう答えると、空を見あげた。

「あ、アルゼンチンって…」

宏美もつられるようにして空を見あげた。

雲1つない青空が広がっていた。